精神科ナースみなみです。ボーダー(境界性人格障害)という精神疾患を持つ人は、精神科のみならず、一般病棟にも稀に入院してきます。ボーダーの傾向にある人の看護も含め、接し方にはいくつかのポイントがあることを覚えておくと、看護計画にも役立ちます。 今日は、ボーダーの特徴を踏まえた上で、看護師としての接し方について簡単に説明していきます。
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ボーダー(境界性人格障害)ってどんな病気?
DSM-Ⅳによると、ボーダーの診断基準は以下のように述べられています。
- 見捨てられ不安
- 両極端な思考
- 自傷行為の繰り返し
- 不安定な感情
- 慢性的な空虚感
- 激しい怒りや、怒りのコントロールが困難
- 一過性の妄想、解離
一見すると、一部は健康な人にも該当しそうな項目です。しかし、ボーダーの患者さんの対人関係は極めて複雑で、無意識のうちに様々な人を巻き込んで、周囲の人間関係を混乱させる傾向にあります。
ボーダーの症状と治療の特徴
ボーダーの症状は、診断基準と一致する部分が多いのですが、
- 見捨てられ不安
- 繰り返される自傷行為
- 相手を操作しようとする行為
- 抑うつ傾向
等が見られます。個人によって症状は多少異なりますが、その背景には、幼少期の分離不安が大きく影響していると言われています。治療の実際としては、
- 薬物療法(抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬)
- 認知行動療法
- カウンセリング
- 家族療法
- デイケア
等が取り入れられていますが、発症から完治まで一貫して治療を継続できるケースは2~3割と少なく、治療が中断される場合も珍しくありません。しかし、30歳を過ぎると社会性の向上によって、徐々に症状が緩和されてくることも多いと言えます。
境界性人格障害の患者さんとの接し方のポイント
経験のある精神科医でも、ボーダーの患者さんとの接し方については苦手意識を持つ人が多いようです。看護計画においては、自殺企図がある場合は安全を最優先しますが、症状を緩和されるには相当の時間と個人に合った治療法を見つけていく必要があります。
看護師として、患者さんとラポールを築くことは大切ですが、ボーダーの患者さんは相手を自分の思い通りに操作することもあるため、一歩距離を置いた関わりが必要です。
ボーダーの患者さんとは、医療チーム内で一貫した接し方をとることが大切ですよね。対応が難しい場面も多いですが、スタッフ間で連携を図りながら看護にあたるといいですね(^^)
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