特養看護師直伝!認知症患者さんの問題行動や周辺症状に関する対応方法

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特養看護師ことねです。

問題行動の種類・周辺症状の原因

認知症患者さんと接するには、まず認知症を理解することです。 認知症の症状は中核症状と、それに伴って起こる周辺症状に分けられます。

・中核症状とは
 脳の細胞が壊れ、機能が失われたことにより起こる症状で認知症の人に必ず見られる症状です。  「記憶障害」「見当識障害」「理解力・判断力の低下」「実行力障害」などがあります。

・周辺症状とは
 BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)または行動・心理症状とも呼ばれています。 「不安」「うつ状態」「幻覚・妄想」「徘徊」「興奮」「暴力」「不潔行為」「せん妄」などが見られます。 中核症状により環境に適応できず、不安感にに駆られてやむにやまれない行動だったりします。 周辺症状は、認知症の人に誰でも見られるわけではありません。周辺の関わりやケア、環境の影響が大きく個人差が大きいことが特徴です。

問題行動・周辺症状の治療や対応方法

私は認知症ケアを専門にしている今の特養で働いてから、関わり方で周辺症状が改善することを目のあたりにし日々の関わりが重要だということを痛感しています。 中には今まで飲んでいた鎮静剤や向精神薬の量を減らすことができた方もいます。

そこで認知症患者さんとの関わり方のポイントをまとめました!

ポイント1 あるがままを受け入れる
あるがままを受け入れるには以下の心得が基本になります。

  • レッテルを貼らない
  • その人らしさを尊重する
  • 本人の形成している世界に合わせ共感する
  • 間違った言動があっても否定しない
  • できなくなっってきている不安な気持ちを理解する。
  • 相手の言動の裏にある理由を考える

周辺症状は、その人の人生感も大きく影響していることから、一人一人についてよく知り個人の独自性を尊重することが大切だと言われています。

看護師にとって周辺行動は問題です。しかしこちらの都合に合わないから問題ととらえていることが時にあります。 例えば徘徊は一緒につきあって歩けば散歩です。ただその時間がないがゆえに徘徊という問題行動にされています。

周辺症状には必ず理由があります。
周りからみれば徘徊ですが、本人にとっては、「息子や孫のために夕飯を作るのに家に帰る」「仕事に行くために出かける」など行動にはその人なりの理由が必ずあります。

周りが周辺症状に困惑し、行動を抑制したり責めたり叱ったりすると、認知症患者さんは安感や孤独感を増します。 その結果さらに周辺症状が出現し認知症を悪化させるという悪循環に陥ってしまいます。

そして私たちが考えることと同じように、関わってくれる人は「自分を受け入れてくれる人」が良いのです。「自分を否定する人」とはかかわりたくありませんよね。 対等な人として関われば、認知症の方と関わることはそんなに難しくはありません。

ポイント2 心にゆとりを持って接する
焦りやイライラした気持ちはすべて伝わり、相手もそういう気分になってしまいます。 特に認知症の方は、「相手が何を言ったか筋道はわからないが、どんなふうに話したか感情はわかる。」そうです。 心にゆとりが持てるように、自分を大切にしケアしていくことも必要です。

ポイント3 短く分かりやすい表現で、低めの声で穏やかにゆっくり話しかける
看護師は、知らずに医療用語で話していることがあるので注意が必要です。 一度にいろいろ話しかけると混乱を招きやすいので、短く分かりやすい言葉に心がけます。 また一般的にに高齢者は、低音の方が聞き取りやすいと言われています。

これらは認知症の方との関わりに関するだけではなく普段、人と関わり信頼関係を築いていく上でも大切なことが多く含まれています。 ケアする側・される側ではなく人と人との信頼関係を築いていくことが大切です。

忙しくて時間がないからできないと思われがちですが、意識や心構えを変えるだけでずいぶん接し方が変わってきます。 リスパダールなどの薬物療法よりも、そんな対応が周辺症状に対する一番の治療となります。

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