経験者が教える居宅介護支援事業の開業・立上げ

各病棟・施設などの仕事内容

今回は居宅介護支援事業所の開設や仕事内容についてわかりやすくお話しします。

居宅介護支援事業所の開設と流れ

居宅介護支援事業所とは自宅で介護を受ける方に対して適切なサービスプランを提供・調整する介護支援専門員(以下ケアマネ)が働く場所です。

居宅介護支援事業所に限らず介護保険サービスを提供する事業所を立ち上げるには法人格が必要です。

法人格とは「法律上の人格、権利・義務の主体となることのできる資格」のことです。しかし、何の事だかよくわからない…と思われる方がほとんどではないでしょうか?

たとえば、法人格には次のような様々な種類があります。

  • 株式会社
  • 社会福祉法人
  • 医療法人
  • 合資会社
  • 宗教法人
  • NPO法人

居宅介護支援事業所を立ち上げるには、いずれかの法人格を取得する必要があります。取得する法人の種類によって作成書類や経費の扱いなど若干違いますが大まかには以下の通りです。

1、スタッフの確保
法人によって理事長、理事、監査など人数が決められています。

2、法人の所在地(事務所)を確保
住所が決まっていないと申請書類が作れません。

3、法人の印鑑を作成
申請書類には必ず押印が必要です。

4、必要書類を作成
中でも定款(会社の事業内容や決まり事)の作成は重要です。

定款に書かれていない事業を行うことはできません。書かれていない事業を行うにはその都度定款の変更を行い認証を受ける必要があります。各法人の必要な申請書類については法務省の「商業・法人登記申請」のページから入手する事ができますので検索してみてください。

301 Moved Permanently

ここまでは法人を立ち上げるための流れです。この作業をしないと先に進めないので少し面倒臭いですが頑張ってみてください。申請が不安な場合は行政書士事務所で代行してもらいましょう。費用はかかりますが失敗はありません。

いよいよ居宅介護支援事業所の立上げです。

5、申請書類の作成
事務所やスタッフの確保などは法人立上げの際にできているので、ここでは省きます。この書類の作成は、法人立ち上げと同時に行うと効率的です。

法人の認証が下りればすぐにこちらの申請もできるので。

申請時に必要な書類は次のようなものです。

  • 申請書
  • 定款の写し
  • 事務所の平面図
  • 居宅介護支援専門員証の写し
  • 勤務表
  • 運営規定
  • 契約書
  • 重要事項説明書

詳しくは各都道府県のWebサイトから入手できます。事前面談を経て申請書類に不備がなければ、居宅介護支援事業所番号が与えられます。

6、ケアマネの仕事開始
とはいっても、はじめは地域での知名度も低く思うように依頼が来ないので、この間にいろいろなマニュアル作りや各事業所へのあいさつ回りに出かけましょう。

最低限、市役所や地域包括支援センターへは開設のお知らせに行ってください。要支援1と2の介護予防の方については地域包括支援センターに情報が集められるため委託を受けやすくなります。

管理者の仕事内容

居宅介護支援事業所には管理者の設置が必要です。この管理者はケアマネでなければなりません。通常ケアマネと兼務することが多いので、利用者のサービス調整やケアプラン作成が主な仕事です。

よほど大きな事業所でケアマネがたくさんいれば管理業務として勤務調整や指導などの仕事が必要ですが、多くの事務所は少人数で運営しているため常に訪問へ回っています。

スタッフ集め

居宅介護支援事業所の開設にはケアマネの存在が必要ですが、自分が資格を持っていれば大丈夫です。

ケアマネの資格取得までの流れについても少し触れておきます。2015年に受験資格の条件が変更されましたが、皆さんは看護師資格をお持ちですので第1の条件は満たしています。

つぎに、看護師としての経験年数が5年(合算は可能です)あれば受験資格があります。受験時に証明書が必要なので勤務先の病院に作成してもらいましょう。

毎年10月くらいに介護支援専門員実務研修受講試験が実施されます。これに受かったからと言ってすぐに資格証がもらえるわけではありません。

あくまでケアマネになるための研修に参加できるかどうかの試験になります。合格すれば決められた時間数の研修・演習・実習が待っています。すべてに出席し修了証が交付されたら都道府県にケアマネとして登録され、介護支援専門員証が交付されます。

少し話がそれてしまいましたが、毎年介護支援専門員証の交付は3月末頃にされます。スタッフを集めるには3月頃に求人をだすことがおすすめです。

事業所開設のメリット・デメリット!?

事業所を立ち上げるメリットとデメリットをお話します。

デメリット

1、申請が面倒くさい
これは私の個人的感想です。専門家に頼めばすぐに解消できる問題ですが、経費削減のためすべて自分でやろうとすると結構な労力が必要です。

2、病院勤務より給料が安い!
ケアマネ1人が担当できる利用者の数が35人と決められています。これを超えると報酬減算という恐ろしいことが起こるので、自ずと入ってくる金額は決まってきます。

3、看護師ではない
高い志を持って看護師になられた方も多いのではないでしょうか?看護師になるにはたくさんの勉強をして大変な実習もありました。「あんなに苦労して取った資格なのに」と思われる方は難しいでしょう。

なんだか暗い話になってきましたが、悪いことばかりではありません。

1、何といっても自由
私が思う最大のメリットです。法律や制度の範囲内であれば自分のやり方が会社の方針です。仕事のペースも自分で決められるので余裕を持って仕事ができます。ただ、少しサボると後で自分に跳ね返ってくるので気を付けてください。

2、いろいろな情報を入手できる
法律や制度などさまざまな情報を入手できて勉強できます。難しい内容ばかりではなく、昔の人の話を聞くのも勉強になります。さらに、料理や子育てなんかについても教えてもらうこともあります。

これから独立をお考えのあなたに

制度を理解しましょう。

制度を理解するのは、県の担当機関に足を運んで、一から説明してもらうのが一番早いです。最初は行きづらいかもしれませんが、何度も足を運んでいるうちに担当者も顔を覚えてくれて親切に教えてくれます。

居宅介護支援事業所はケアマネ1人でも立ち上げることができるので、興味がある方は是非挑戦してみてくださいね。

コメント

目次に戻る!
タイトルとURLをコピーしました