看護師が考える高齢者介護現場における感染症の基礎知識と予防法・対策

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特養看護師のことねです。

介護現場は、感染症に対する抵抗力が弱い高齢者が集団で暮らす場です。 感染症を発症するリスクが高く、一度感染すると広がりやすく重症化しやすいのが特徴です。 また、最近の介護現場は、認知症を患った高齢者の増加により入居者に予防対策を求めるには限界がある状態です。

医療処置を必要とする入居者も増えていますので、職員が一丸となり感染予防や対策に努めることが重要です。

介護現場における感染症の基礎知識

感染とは
病原体(感染源)が体の中に侵入して増殖し、体の中にとどまる状態
感染症とは
感染したことにより、咳や熱などの症状が現れた状態を感染症と言います。

感染症が成り立つ仕組み
感染が成り立つためには以下の3つの要素があります。この3つがることで感染が起こります。逆にいえばこれらのつながりを断ち切れば感染は成り立たないことになります。

① 感染源
病原体のことです。ウイルス、細菌、ダニなどです。

② 感染経路
病原体が伝播・侵入する方法です。

③ 感受性宿主
病原体に対する抵抗力が弱く、感染しやすい人のことをいいます。

介護現場における感染症の種類(感染経路別)

接触感染
直接病原体に接触して感染すます。または、病原体が付着した手指や衣類、物品等を介して感染します。
主な感染症
疥癬、MRSA感染症、ノロウイルス胃腸炎

飛沫感染
咳やくしゃみ、会話などで飛んだ病原体を含む粒子飛沫(5μm以上)を吸い込んで感染する。
主な感染症
インフルエンザ、風疹、肺炎

空気感染
咳やくしゃみなどで空気中に漂った病原体を含む飛沫核(5μm以下)を吸い込んで感染する。
主な感染症
結核、はしか、水ぼうそう

介護現場における感染症事例と予防法・対策

特養で経験したノロウイルスの事例をご紹介します。

12月のはじめ、いつも便秘で下剤を使用している80代の女性入居者が、夜間に下痢をしました。 昨夜も未排便3日目で下剤を飲みました。下剤を飲んだ後だいたいは下痢をしており、他に症状がないため様子を見ていました。その後も下痢が2回ありました。

下痢の時はいつもスタッフの話すことが聞き入れようとしないぐらい不穏となり車いすを自走して徘徊します。 その次の日、同じユニットで嘔吐・下痢をする入居者が3人出現しノロウイルスキットを使用し検査してみると、その3人のうち2人がノロウイルスだということが判明しました。

どうしてこのように感染が拡大したか分析すると、80代女性がノロウイルスの可能性があったことも否定できません。 職員も調査すると、その夜勤をした職員が嘔吐・下痢の症状があったにも関わらず勤務したことが分かりました。 さらに、感染発覚後、ノロウイルス胃腸炎に沿った感染対策をしていたのですが、 職員の一人が感染者一人につきエプロンを使い捨てにするのを知らず同じエプロンをつけて他の人のケアもしていたのです。 11月に冬に代表的であるノロウイルス対策の研修を実践を交えてしたばかりだったのになぜだろうと愕然としました。

常日頃から基本的な感染予防・対策についての知識を身につけ実施していくことの必要性を実感しました。

感染対策の3原則

① 感染の基本から予防対策を

  • 感染源を減らす  1手技1手洗い、環境整備
  • 感染経路を断つ  移さない 移らない 拡げない
  • 抵抗力をつける  日頃の健康管理、予防接種

② 感染源となるものの取り扱い 介護施設では、利用者が感染症か否か知ることは難しいことです。 そこで、利用者に感染症があろうとなかろうと、「標準予防策(スタンダードプリコーション)」を活用し利用者と職員を感染症からまもりましょう。血液や便・尿などの排泄物、痰や唾液・鼻十など汗以外の、人の体からでるものすべてが感染源になります。

  • 汗以外は感染源!
  • 感染源(汗以外)に触ったら手洗いをしましょう
  • 感染源(汗以外)に触る可能性があれば手袋やエプロンをつけましょう

③ 標準予防策+感染経路別予防策の組み合わせで感染対策

  • 標準予防策を基本とします
  • 感染経路にあった対策を組み合わせます。
  • 感染症の特徴(感染経路)を押さえましょう。

介護現場における感染症対策のマニュアル・研修について

介護現場におけるマニュアルとして一番おすすめなのは、厚生労働省から発行されている「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成25年3月)」です。

「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成25年3月)」の公表について|厚生労働省

高齢者介護施設における感染対策マニュアルから閲覧できます。ぜひご参照ください。

近年の施設における感染症の動向や感染症に対する知見を踏まえて改正したものです。 予防から対策まで詳しく具体的に書かれてあり現場で役立ちます。

施設により、設備や使用している消毒剤の商品名が違いますのでこのマニュアルをもとに、 自分の施設で誰が見ても理解でき迅速に対応できるようにさらに改良するとさらに活用しやすくなります。

マニュアル作りのポイントは以下の3つです。

  • わかりやすい表現を使う
  • 絵や写真を活用する
  • 必要最小限のポイントをおさえること

看護師は、ついつい医療従事者にしかわからない用語を使いがちですので気をつけましょう。

また、マニュアルがあっても見て守られなければ意味がありません。 感染症が発生した時に、どのような消毒液を何パーセントでつくるか日頃から覚えていることは容易ではありません。 そこでどの職種でも一目瞭然で分かるようにすべての汚物処理室など処理方法を明記した一覧表を貼っておくと便利です。 また吐物処理に使う物品は、バケツ等に入れてまとめてセットしておき、それ1つ持っていくとすぐに処理ができるようにするといいですよ。

研修のポイント
研修は、できるだけ業務時間内で短時間で行い、実技研修を入れることがポイントです。 時間外になると職員が疲れ果てて集中力がなくなっているため効果的ではありません。 研修時間は、1回15分から30分程度にします。資料は事前に目を通しておいてもらいます。資料の概要やポイントを5~10分で説明し、あとは実技演習にします。 1回の人数は5人程度にしています。汚物処理の仕方については、間違ったら次の人に交代しできるまで繰り返し行います。 全施設のスタッフに教えるのに1か月ほど時間はかかりますが、集団的な講義形式で行うよりかなり効果があります。 事後評価は、巡回した時に聞いたり、実際に行っている場面を確認したりします。標準的な手順から逸脱している場合は、その場で再度指導をします。 その時は、クドクド説明すると要点が分からなくなってしまうので基本から逸脱している部分を中心に行っています。

感染対策は、目に見えない的(病原体)ですので意識しづらいかもしれません。 しかし、いったん利用者の健康が損なわれ命につながる危険性があります。 職員も対応に追われ疲弊してしまいます。 事例を通して教育するのも効果的な教育法の1つです。

また、どうしても看護師目線で説明すると理解されにくこともあります。 なので介護職に施設外の研修に参加してもらい介護職に発表してもらうと、介護職の言葉で感染症の知識が伝えられ 業務に直結するような方法を生みだしてくれることもあります。

介護施設では、介護職と看護師の間には、感染症に対する意識や知識にかなりの温度差があるのを感じますが、 感染症予防・対策にはお互いの立場を理解し協力していくことが重要となります。

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ことね
新人看護師時代、ICUに入職。泌尿器・麻酔科・口腔外科・耳鼻科の混合病棟、外科病棟と内科病棟の混合病棟、内科・皮膚科・内視鏡・整形・外科外来の混合病棟。様々な混合病棟で臨床経験を積み、現在、特養看護師です。それに加え、単発バイト、デイサービス、有料老人ホーム、健診、クリニックなどのアルバイトもやっていました。
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