肺がんの看護に携わっていたしぃです。
肺がんの診断
胸部レントゲンやCTで肺がんが疑われた場合、精密検査で確定診断を行います。
喀痰細胞診
滅菌の容器に患者さんの痰を入れてもらい、病理検査科で検査をします。三回分ほど提出しがん細胞の有無や種類の確認を行います。食後すぐの喀痰には食残が混じっていることがあるので避けましょう。
気管支鏡検査
咽頭麻酔をかけて気管支鏡下で専用のブラシや鉗子を用いて病変組織をとり検査を行います。イメージとしては胃カメラに近いです。
咽頭麻酔をかけますが機器の挿入で咳が誘発されて苦痛が伴う検査になります。今まで経験したことのない検査のため、患者さんの不安も大きいです。検査のイメージができるよう、検査前にはしっかりと説明しておきましょう。
また、検査中から検査後にかけてSpO2が低下することも多くあるため、SpO2値のモニタリングや酸素投与の管理は重要となります。
気管支の細胞をとる検査のため、出血が伴う場合もあります。気管支鏡検査時には、必ず止血剤の点滴を実施します。検査中から検査翌日までは気管からの出血や血痰はないかを注意深く観察しましょう。
腫瘍マーカーの採血
肺がんの腫瘍マーカーの上昇はないかを確認します。
以上の検査で肺がんと確定診断された後は、胸腹部のCT、脳MRI、PETCTを行ない、全身転移の検索を行います。そして肺がんの種類やstage(病期)分類の診断を行います。
肺がんの種類
代表的な肺がんの種類には「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」、「小細胞がん」の4つがあります。「小細胞がん」以外の3つは進行度や治療法が小細胞がんと大きくことなるため「非小細胞がん」と言われて区別されています。
「小細胞がん」は進行が速いですが、化学療法や放射線療法の感受性は高いです。「非小細胞がん」は小細胞がんと比較すると進行は遅いですが、化学療法や放射線療法の感受性は低いです。
TNM分類
多くのがんの病期分類に使用されています。
- T(Tumor)…原発腫瘍の進展度
- N(lymph Node)…所属リンパ節転移の有無・程度
- M(Metastasis)…遠隔転移の有無
この分類から、肺がんのstageを判定します。
※小細胞肺がんの場合は転移しやすいがんのため、TNM分類のほかに、限局型(LD)、進展型(ED)という分類があります。転移のない小細胞肺がんはLDsmall、転移のある小細胞肺がんはEDsmallと言われています。
TNM分類の図はこちらがとても参考になります。
肺がんの治療
がんの種類や病期分類によって治療法は決まります。
- 手術…がんの切除を行ないます
- 術前化学療法…手術前にがんをなるべく小さくすることを目的に行います。
- 術後化学療法…手術後の再発を減少させることを目的に行います。
- 化学療法や分子標的治療薬…手術不適で化学療法や分子標的薬が適応となった場合に行います。
- 放射線治療…がんの縮小や疼痛緩和を目的に行われます。
肺がんの治療でメインとなるのは抗がん剤による化学療法です。肺がんの治療のレジメは2剤の抗がん剤を繰み合わせるものや腎障害予防の大量補液もあるため、投与時間が長いものが多いです。副作用としては、骨髄抑制、嘔吐、悪心、食欲不振、神経障害、腎障害、下痢、脱毛などがあります。抗がん剤の種類によって特有の副作用があるので、一冊抗がん剤の本を持っているとよいでしょう。
肺がんで使う代表的な抗がん剤と分子標的薬の副作用
- シスプラチン…嘔吐、食欲不振、嘔吐、腎障害
- パクリタキセル…関節痛やしびれなどの神経症状
- イリノテカン…下痢(下痢をした場合には看護師も性状を確認し、医師に報告。対処が遅れてしまうと重篤な下痢になってしまうことがあるので注意が必要)
- ゲフィチニブ…下痢、皮膚障害(皮疹)、間質性肺炎
※ゲフィチニブは肺腺がんで東洋人女性の非喫煙者の感受性が高く有効と言われています。
新薬の開発が進んでおり、ここ数年で血管新生阻害薬のアバスチン(喀血に注意)が併用されるようになっています。
多くの患者さんは確定診断後すぐに治療開始になります。
がんと診断された患者さんは、その状況を理解したり病気を受け止めたりするのに、とても時間がかかります。
その状況下で治療を開始して、抗がん剤による副作用症状が出てきます。想像するだけでも本当につらい状況だと思います。
少しでも苦痛な症状を取り除き、闘病生活が送れるようサポートをするのが看護師の役割です。勉強することは多く尽きませんが、必ず患者さんに結びつきます。頑張りましょう!
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