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便秘で困っている高齢の患者さん!
便秘で困っている高齢の患者さんはたくさんいらっしゃいます。 以前、便秘がひどく、岩のように硬くなった便で腸穿孔し手術をした患者に出会いました。 認知症で自分で便秘にも気づいていないようでした。 便秘に気づかず不快症状で病院にかかる人もいますので、注意深い観察と看護が必要になってきます。 老年の便秘の看護過程についてまとめてみましたのでぜひ参考にして下さいね。
高齢になると全身の筋肉が衰えてくるため、内臓も下垂気味になります。 そのため排便に必要な腸の蠕動運動が弱くなり便秘になるケースが多く見られます。 さらに大腸がんや腸閉塞などの症状としても起こるので、便の性状が変化するとともに 腹痛や吐き気などがあったら病気の可能性もあります。
便秘の定義
便が長時間、腸間内にとどまり水分が減少して硬くなり排便に困難を伴う状態
便秘の種類
急性
1)一過性単純性便秘
食事量減少や水分不足など、一時的に起こる。
2)症候性(器質性)便秘
何らかの病気のために突然便秘になる
慢性
1)常習性(機能性)便秘
腸の動き自体弱くなっていたり、逆に過敏になってしまったため起こる便秘
①弛緩性便秘:便が硬い
運動不足や食生活の方よりから起こる。
便を押し出す力が十分でない
便が大腸にしばらくとどまるため水分が吸収されすぎて便が硬くなってしまう
②習慣性(直腸性)便秘:便が太くて硬い
直腸の動きが鈍くなったため起こる。便意が起こりにくくなる。
高齢になると直腸が太くなるため、大腸で水分が過吸収された便が蓄積する
③痙攣性便秘:コロコロ便
自律神経のアンバランスから起こる。直腸までの便の流れが障害される
大腸での水分吸収が増大し、収縮が強いため便が小さくて硬い、または、細くて短い
2)症候性(器質性)便秘
何らかの病気のために徐々に進行した便秘
パーキンソン病、脳血管障害、精神障害など
高齢者の急性の便秘は、食事量や水分摂取量の低下による一過性のものが多く見られます 一方、慢性の便秘は、運動不足や筋緊張の低下から弛緩性便秘が比較的多く見られます。
アセスメント
1.患者背景
現病歴
年齢 腹部所見 病状の経過 治療の経過
既往歴
腫瘍、腹膜炎、外傷、開腹手術の有無、ヘルニアなど
疾患・治療についての理解の程度
生活習慣
排便習慣
健康行動 (食事など)
2.全身状態
- 栄養状態
- 身長 体重 体重の変化
- 悪心・嘔吐の有無と程度
- 検査データー
- 排泄状態
- 排便の回数、量、性状
- 腹部症状(圧痛、筋満、腹部膨満・筋満の有無)
3.活動・休息
- ADLの自立度(食事、排泄、入浴、更衣、移動)
- 胸部症状の有無
- 夜間の睡眠状態
4.知覚・認知
- 心理状態
- 治療への不安
- ストレスに対する対処方法
- 苦痛の有無
- 腹痛の部位、程度
- 圧痛
- 悪心、嘔吐
- 排便、排ガスの有無
5.周囲の認識・支援体制
- キーパーソンの有無
- 家族構成
- 社会資源の活用の有無
看護問題
♯便秘
看護目標
排便コントロールができる
O-P
1.便秘の種類
2.便の性状
量、色、におい、回数
3.腹部状態
膨満、しこり、腹痛、腸蠕動音など
4.不快感の有無
悪心、嘔吐、食欲不振、口臭、イライラ感など
5.肛門の状態
肛門の周囲の皮膚の膨隆、触れると便塊が触れる、痔やびらんの有無など
6.精神状態や社会的状況
うつ状態になると無気力になり便秘になりやすい
7.排便環境
トイレが遠い、大部屋で気兼ねがあるなど便意抑制の原因があるか
8.手術や病気に伴う要素
9.認知機能
10.服薬の有無と状況
11.家族、キーパーソンの有無と状況
社会資源の活用状況
T-P
1.毎日一定の時間に排便を試みる
2.排便時の環境調整(プライバシーの保護、ポータブルトイレ設置、換気など)
3.腸蠕動運動を促進するため、腹部マッサージ・温罨法を施行する
4.こまめに水分摂取をすすめる
5.食物繊維の多い食事にする
6.規則正しい生活を促す
7.適度な運動を促す(筋力の程度は腸の運動低下につながるため)
8.排便がない時は医師の指示により下剤の調整、浣腸や摘便の実施をする。高齢者は多量の排便とともに血圧低下などショック状態になることがあるので顔色など観察していく。また、便意とともに排便があることが多いのでオムツやポータブルトイレをあらかじめ用意しておく
9.不安や苦痛を訴えやすい環境をつくる
E-P
- 便秘予防の必要性について説明する
- 腹部マッサージの方法を指導し、適宜実践してもらう
- 水分摂取の必要性を説明する
- 便秘を改善するような規則正しい生活や、適度な運動、食事について指導
- 下剤の服用について説明
- 上記は、状況により本人だけでなくキーパーソンにも指導する。
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