特養看護師のことねです。
施設内の感染症の発生や発生時の感染拡大を防止するために、感染対策委員を設置するのは必須です。 感染対策は、入居者の安全管理の視点からきわめて重要です。 多くの介護施設では、看護師が責任者となり委員会を運営しています。 そこで介護施設における看護師の感染対策の役割・できることをまとめました。
- 看護記録 - 観たいところをタッチ♪
介護職への感染症対策の教育・体制づくり
感染については平常時から予防・対策をしなければいけません。 直接入居者に一番多く接するのは介護職ですので、介護職に平常時のケアの実際の注意事項とその意味をわかりやすく示し、それが実施できるような体制をつくる責任があります。 しかし介護現場の人出不足は深刻で、無資格で就職してくる職員や外国人労働者が多くいるため教育にかなり悩まされます。
まずは、職員が感染症に対してどう考え思っているか知ることから始めます。 この原点を知らずただ押し付けの研修や教育をしてもまるで効果がありません。 知ることも教育も介護職と協力して一緒にケアをしていくという気持ちがないと上手くいきません。 その気持ちがないと、信頼を得られずいざ教育をしようとしても聞き入れてもらえないでしょう。 一緒に協力しケアしていくなかで反復して教育ができるとより効果的です。
マニュアル作成や研修のポイントについては、「看護師が考える高齢者介護現場における感染症の基礎知識と予防法・対策」を参考にして下さいね。
看護師が考える高齢者介護現場における感染症の基礎知識と予防法・対策 | 看護ハッピーQOL
また、スキルアップのため院内感染対策のスペシャリスト「医療管理士」という資格もあります。 資格をとる過程で感染対策に関する専門知識が身につけられる他、最新の感染対策に関する情報を入手できるようになるため、 院内で感染症が広がるリスクを減らすことに役立てることができます。
感染症管理に携わる看護師がこの資格を取ることで、周囲からの信頼度があがり、指導・教育の効果が高まることも期待されます。
早期発見のためにできること
高齢者は感染をしても症状が出現しにくく、症状が発見された時にはすでに重症ということが少なくありません。 ですので普段からの十分な観察をして異常の早期発見に努めることが大切です。 また、認知症を患っている高齢者は、自分で症状を上手く訴えることができませんので、おかしいなと思ったら全身を注意深く観察することも重要です。
しかし、看護師が「あたりまえ」「常識」と思っていた知識や技術は、現場の介護職にとって当たり前ではありません。 どのような時に看護師に報告することが必要なのか介護職に具体的に説明し記載しておくことが重要です。
何か変わったことがあったら、悪化したらといっても何を観察すればいいのか分からないのです。 肩を上下に揺らす呼吸をしたら、熱が何度以上になったら、SPO2が何%以下になったら、皮膚が赤くなったらなど具体的に示します。
指示した以外でも何かおかしいなと思ったら連絡してもらうようにしておきます。 ときに、「そんなことでいちいち連絡してこないで!」と言いたくなることがありますが、 それを言ってしまうと介護職が遠慮して報告しないとなると手遅れになる場合があります。
どんな時も、まずは、「連絡してくれてありがとう」という気持ちで接し、介護職が報告しやすい環境を日頃から作っておくことも大切です。 一番利用者の身近にいて利用者のことを知っているのは介護職だということを忘れてはいけません。
感染発生時の看護師の役割
アウトブレイクの危険性を視野に入れて、医療従事者の立場から感染を最小限に止めるように努めます。 医師の指示を受けて症状に応じたケアを実施するともに介護職員に対し、ケアや消毒等の衛生管理について指示をします。 感染症により来訪者を制限する場合は、来訪者や利用者・介護職へその必要性があることを説明し理解を得てもらい、手洗いマスクの着用など衛生管理について指導を行います。
感染拡大の防止のため必要に応じて感染症者を隔離をしなければいけません。 隔離をする時は、無用にすると身体拘束やADLの低下につながります。 よって、医師や保健所に聞いてどのような状態の時に隔離が必要でどうなったら隔離の解除ができるのか明確にし説明ができるようにしておきましょう。
発生状況の把握も必要です。 誰がいつからどのような状態であるか、入居者・職員の健康状態の把握をします。 保健所に問い合わせたりネットで、発生状況を把握する一覧表をもらい活用するといいでしょう。 この一覧表を活用することにより、拡大の原因が明らかになることもあります。
介護施設は、病院と違って清潔・不潔の環境区分があまりなかったり設備が整っていなかったりすることもあります。 さらに認知症を患っている利用者が増えて清潔を保つことが困難な場合もあり、感染予防・対策が難しいこともあります。 しかし、だからできないのではなく現在ある限られた条件の中で、どのような工夫をすればさらなる感染管理のための環境改善や感染対策活動ができるか 他職種と協力し取り組んでいくことが重要です。
コメント