特養看護師のことねです。
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高齢者患者さんの肺炎
体力や抵抗力が低下し様々な持病を抱えている高齢者は、肺炎にかかりやすいうえに重症化しやすく、さらに治りにくいため命に関わることが少なくありません。よって、肺炎の程度によりますが、挿管・呼吸器の装着など延命治療に関して早めに確認をしておく必要があります。
肺炎にはいくつかのタイプがあります。
高齢者に多いのは、風邪やインフルエンザに続いて起こる肺炎と、誤嚥を繰り返すことで起こる誤嚥性肺炎です。
また、高齢者では典型的な症状がでるとは限りません。 何となく元気がない食欲がない、問題行動が見られるなどサインとなっている場合がありますので注意が必要です。
典型的な症状
- 咳や痰が多い
- 発熱
- 呼吸困難
- 悪寒
- 胸痛がある(胸の深いところの痛みが数日から1~2週間続く)
見逃されやすい症状
- 呼吸の増加(いつもより浅くて速い呼吸)
- 食欲がない
- 元気がない
- 微熱がある(高齢者の肺炎では、微熱程度の発熱か熱がないこともある)
誤嚥性肺炎の場合
- 食事に伴う異常は嚥下障害があるサイン。誤嚥を起こしやすく、繰り返すことで肺炎にいたる。
- 食事時間が長くなる(うまく飲み込めないので食事に時間がかかる)
- 口の中の食べ物をため込んで飲み込めない
- 食後に疲れてぐったりしている(むせやすいため食事するだけで疲れてしまう)
アセスメント
1.患者背景
- 現状歴
- 年齢
- 病状、治療の経過
- 既往歴
- 慢性呼吸器疾患の既往
- 他の基礎疾患の有無
社会的状況(施設入居、家庭環境)
- 生活習慣
- 喫煙歴、活動レベル
- 健康行動
- 食事
- 定期健康診断の受診の有無
- 感染予防策(手洗い、含嗽)
- 予防注射
2.全身状態
- 栄養状態
- 食事内容、量、食欲
- 身長、体重、体重の変動
- 口腔、皮膚、粘膜の状態
- 検査データ(Alb、TP、Hb)
- 食事(自立度、誤嚥の有無、食事にかかる時間)
- 悪心、嘔吐
輸液内容、水分量、エネルギー量
- 排泄状態
- 便秘、下痢、腸蠕動、便の性状、量
- 排便に支障をきたす因子
- 排尿に支障をきたす因子
- 水分出納
3.活動・休息
- 呼吸状態
- バイタルサイン
- 発熱の程度、熱型
- 呼吸数、呼吸音、喘鳴、呼吸困難の有無
- 喀痰の有無、色、性状、量
- チアノーゼの有無
- 胸背部痛の有無と程度
- 肺炎の重症度
- ショック症状の有無
- 意識レベルの低下
睡眠状態(時間、熟睡感など)
- 活動状況
- 歩行(ふらつき、距離、時間)
- 清潔(口腔ケア、整容、入浴習慣)
- 検査所見
- 採血結果
- 胸部レントゲン CT結果
- 酸素飽和度(SPO2)
4.知覚・認知
- 疾患についての知識
- 病態、治療内容、再発の可能性
- 心理状態
- 不安、不眠、ストレスコーピング
コミュニケーション能力
- 苦痛の有無
- 発熱の程度、持続時間
- 呼吸困難の有無
- 咳嗽と喀痰の頻度
- 胸背部痛の有無と程度
- 発熱による随伴症状(倦怠感、頭痛)
5.周囲の認識・支援体制
家族構成
家庭内での役割
- 家族の協力状況
- 面会状況、キーパーソン
- 家族の疾患の知識、指導への反応(肺炎の原因、治療・予後の理解、再発防止対策の理解)
- 退院後の協力者
社会資源の活用の有無・程度
看護計画
♯1看護問題 疾患に関連した症状(発熱や咳嗽)に伴う安楽障害
目標
体温が平熱となり正常な呼吸ができる、
呼吸困難なく安楽に睡眠がとれる
O-P
1.臨床症状と苦痛の程度
バイタルサイン(発熱、血圧低下、脈拍増加、呼吸数の増加、意識レベル低下)
臨床症状(咳嗽、胸背部痛、喀痰の量・性状、呼吸困難、不眠、倦怠感、頭痛、消化器症状)
- 検査データー
- 血液検査
- 胸部レントゲン・CT検査、胸部理学的検査
- 痰培養検査
2.治療内容とその反応
- 安静度、日常生活の制限
- 薬物療法(内服、輸液)
- 酸素療法
3.患者背景
入院生活前の生活環境
4.患者の認識、不安感
- 疾患、入院、治療の理解
- 認知レベル
T-P
1.苦痛の緩和
- 発熱時は氷枕を用いクーリングをする
- 呼吸しやすいファーラー位とし呼吸困難感を軽減する
- 検査・治療に伴う苦痛を最小限にする
- 排泄時は、状態に合わせて便器・尿器の使用、車いすを使用しトイレまで移送する。
- 排便コントロールをはかり、便秘や下痢を極力さける
2・不安の緩和
訴えの傾聴
- 治療・処置の説明
- 医師からの説明と理解の確認をする
- 精神的サポート
- 訴えやすい環境をつくる
- 家族とのコミュニケーションを円滑にし、患者が安心して療養できるようにする
3.医師の指示による確実な薬の投与
薬剤の作用と副作用を観察する
4.医師の指示による確実な酸素の投与
5.環境整備
- 室温を20~24度前後とし湿度は60%前後に保つ
- ホコリの少ない清潔な環境を維持し、換気を行う。
- 喀痰の取り扱いは手袋を使用し衛生的に処理する。
- 必要時面会制限
6.身体の清潔
- 手洗いを徹底する
- 口腔ケアを行い口腔内の清潔を保つ
- 状態に合わせ清拭を行う
7.水分と栄養の補給
- 適宜水分を補給する
- 消化が良く栄養価の高い食事にする
E-P
- 効果的な咳の方法を指導する
- 家族にも手洗い・含嗽をするように指導
- 安静の必要性について説明
- 治療・検査の目的や予定についての説明
- 状況によってキーパーソンや社会資源の支援を依頼 する。
♯2非効果的自己健康管理
目標 患者・家族が肺炎の再発予防について理解し日常的に実践できる。
O-P
1.患者の身体状況
ADL、栄養状態など
2.現病歴・既往歴
3.入院前と退院後の生活環境
4.生活習慣・嗜好
- 喫煙、飲酒
- 活動量・内容
5.患者の学習意欲、知識、実践力
6.家族の理解度、協力状況
T-P
1.体力の回復、維持
ベッド上で下肢を中心に筋力UPを行う。
2.食事による栄養補給(食事形態をもとに徐々に戻していき摂取量を増加する)
3.行動範囲の拡大
座位でいる時間を徐々に長くしていき、起立、歩行範囲や時間を拡大していく
呼吸前後の呼吸状態、脈拍、動悸の有無を確認しながら行う
E-P
- 再発予防のための指導
- 口腔ケア
- 体力や筋力の保持・増進
- 栄養と適度な運動
- 誤嚥予防
- インフルエンザ、肺炎球菌の予防接種を勧める
- 呼吸リハビリテーションの指導
- 状況によってキーパーソンや社会資源の支援を依頼 する。
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